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【研究成果】家庭調理における食塩摂取量低下のための無作為割付比較試験とその長期効果の検討




家庭調理における食塩摂取量低下のための無作為割付比較試験とその長期効果の検討した研究を専門誌で論文発表しましたので紹介します。
(https://www.mdpi.com/2072-6643/12/10/3034 2020年10月ウェブ上に公開)。



家庭調理における食塩摂取量低下のための無作為割付比較試験とその長期効果の検討

S. Maruya, et al. Short-Term Effects of Salt Restriction via Home Dishes Do Not Persist in the Long Term: A Randomized Control Study. Nutrients. 2(10):3034. 2020



食塩の過剰な摂取は高血圧・循環器疾患・胃がん等、疾病と関わりがあることが知られています。また、世界と比べて日本人を含むアジア圏の人々は食塩摂取量が高い傾向を示しています。食生活において食塩摂取量の低下(減塩)は大きな課題であり、生活習慣病の予防対策として重要です。


日本人は主に家庭や食卓で追加調味される調味料や味噌汁などの汁物から食塩を摂取している割合が高く、これらは個人の塩味の好みに影響されています。そこで塩味の好みに関する意識を変容することで減塩できるのではないかと考えました。


家庭での汁物や料理の塩分濃度を測定し、どのくらいの食塩が含まれているか確認することで自身の味の好みを認識させることを目的とした家庭調味モニタリングという方法を3か月間一般家庭の方へ実施してもらい、食塩摂取量が低下するか(減塩効果はあるか)を検証する介入研究を実施しました。


 

【研究方法の概要】

► 介入による減塩効果および長期的な減塩持続効果の検討:神奈川・奈良研究

家庭調味モニタリング介入の効果があるか従来の減塩方法である低塩調味料の使用による介入と比較し検討しました。つぎに介入後の減塩持続効果があるか長期的に追跡し、検討しました。


◆研究内容

 図1.研究の流れ


 図2.介入方法について


【研究の主な結果】

両介入ともに介入群で尿中ナトリウム排泄量は減少を示しましたが統計学的有意な差はなく、介入群と対照群の間で統計学的有意な差はみられず、減塩効果を示さない結果でした(家庭調味モニタリング介入253mg /24h、低塩調味料の使用介入-123mg/24h、図3)。


また、ベースライン時を基準として、介入後、ベースライン時から6か月後、12か月後の変化を検討したところ、どちらも介入から6か月経つと(ベースライン時から12か月後)介入前の摂取量に近い値へ戻ってしまうことが分かりました。



【この研究結果からわかること】

家庭調味モニタリング介入は食塩摂取量を低下させましたが、今回検討した集団での介入による減塩効果はあるとは言えないという結果になりました。また、介入後の長期的な減塩効果もみられませんでした。

先行研究で実施した新潟での介入研究より通常の食塩摂取量が低い集団であったため(新潟研究:11.5g/24h、神奈川・奈良研究:9.9g/24h)、比較的食塩摂取量の低い集団では影響を及ぼさない可能性が考えられます。また、長期的な介入の持続効果もみられなかったことから、減塩を継続的に実施するには1回の介入だけではなく、継続的な支援が必要なのかもしれません。



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